並列4気筒エンジンを搭載したS 1000 RR。

重量僅か59.8kgのエンジンは、マーケットに出回っている1,000cc級4気筒エンジンの中で最軽量の部類に入ります。他のBMW Motorradのエンジンと同様に、全体的に精巧な設計に基づき、補機類はコンパクトに配置され、6速のギアボックスが組み合わされます。スーパースポーツのサラブレッドを創り出すために、センターマスを意識した極めてコンパクトなエンジンを造り出しました。シリンダーボアは80mmと広いものの、クランクシャフトを装着したときの幅はわずか463mm。また高さも558mmと、極めて低くなっています。

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シリンダーを前方に32度傾けた結果、重心の最適化と前輪ベースの重量配分を実現。これは、スーパースポーツにおいて、卓越した走行性能とフロントホイールからの最大限のフィードバックを追求する上で不可欠な要素です。

S 1000 RRのクランクシャフトは、熱処理された鋼によるワンピース鍛造で、従来式の180度クランクの等間隔爆発を採用しています。フローティングベアリングのコンロッドは、超軽量の熱処理された鋼製です。長さ103 mmで、エンジンの高さを低くコンパクトな造りを可能にしています。ピストンにかかる適度な横圧とともに、重心にとって有利に作用しつつも、エンジンは静音性能にも優れています。コンロッドの垂直軸に対して45度の角度で上部コンロッドのアイに位置する2つの潤滑ボアによって、ピストンボルトベアリングの潤滑が確保されています。コンロッドは、十分に試されたクラッキング手法によって水平に分割されていることから、付加的なセンタリングなしで、極めて高い精度で嵌め合わせることができます。

極めて短いピストンスカートを特徴とする軽量鍛造ピストン(φ80 mm)がニカジルめっき処理のシリンダーボア内を往復します。ピストンには摩擦力を軽減した2本の狭いピストンリングと3本構成のオイルスクレーパーリングが取り付けられています。

平坦に設計したシリンダー、ピストンベース、およびバルブリリーフが、熱力学的に良好な燃焼プロセスを維持し、重量を最適化したピストンベース形状を実現しました。ピストンの重さはボルトとリングが取り付けられた状態でわずか253gです。熱放出については、熱負荷が高いピストンベースは、オイルスプレーノズルによってクランクケース内で集中的に冷却されます。そのため、極限の条件下でも、確かな動作が確保され、耐用年数が長くなります。

クランクケースの中間の高さで二分割されている水平シリンダークランクケースは、高張力アルミ合金製です。鋳造によるコンパクトなアッパーセクションは、4つのシリンダーとアッパークランクケースのベアリングシートのための高剛性接着構造になっています。また、ケースの上半分には軽量でコンパクトな6速ギアボックスがあり、ウォータージャケットを設けたシリンダーブロックは剛性に優れるクローズドデッキ構造です。

性能、特性、燃焼効率、および燃費は、シリンダーヘッドとバルブギアにも左右されます。4バルブのシリンダーヘッドの設計には、理想的なダクト形状、コンパクトさ、熱力学的な最適化、熱バランスの最適化が考慮されています。バルブアングルを小さくすることで、吸気ポートが完全に直線になり、燃焼室もコンパクトになったため、圧縮比が高くなり、燃焼効率が良くなりました。

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4気筒エンジンでは、ダブルオーバーヘッドカムシャフト(DOHC)にカムフォロアーを設け、バルブの開弁時間を最適化し、慣性モーメントを低減、バルブの確実な開閉を可能にすることで、最大限のトルクと回転速度を発揮します。コンパクトに設計されたシリンダーヘッドに加え、バルブギアコンポーネントの最大限の剛性と最低限の重量が絶妙に一体を成しています。

バルブクリアランスは、スプリングシートに誘導される極小軽量シムで調整されています。吸気側のスプリングプレートは軽量なアルミ製。カムフォロアーバルブ制御の慣性重量は、バケットタペットを用いる類似手段よりも少なくなります。振動するマスが小さいため、カムプロフィール全体でバルブの加速が良くなり、バルブ開口面積を大きくすることができます。

最高回転数は14,200 rpmですが、純粋な機械的限界回転数はこれを遥かに上回ります。シリンダーボア(80mm)が大きいため、最大限の、つまり、最高の性能を得られる、バルブディスク径を取ることができました。バルブディスク径は、吸気側が33.5 mm、排気側が27.2 mmで、1000cc級のスーパースポーツにおいて最高レベルの性能を発揮します。

潤滑システムについては、試行を重ねた結果、イートン社製のオイルポンプを採用したウェットサンプ構造となっています。熱交換器の代わりに、独立したオイルクーラーをオイル冷却に使用しています。これは、ウォータークーラー下のロワートリムパネルに組み込まれています。オイルクーラーを使用することで、クーラントにおける不要な熱的加圧が防止され、小型軽量のウォータークーラーを使うことができ、クーラントの必要量が減ります。

ここで重要なのは、エンジン幅がコンパクトになり、そして、何よりも軽量化出来ることです。電装品のサブアセンブリやその駆動部のレイアウトにも同じことが言えます。例えば、ACジェネレーターが左クランクシャフトサンプ上に置かれていて、永久磁石が備えられています。これは、6000rpm時434Wの出力を生み、最大回転速度を16,000rpmとして設計されています。トランスミッションスターターは出力800W、重量1050gで、シリンダー後方の左上クランクケース半分のところにあり、これは、フリーホイールによって連結されていて、スパーギアとして設計された左外クランクウェブ上の減速比は1:24.61となっています。オルタネーターとスターターモーターの左側のカバーは、重量を抑えるためにマグネシウムで作られています。

フューエルインジェクションはフルシーケンシャルで動作します。すなわち、該当するシリンダーの吸気行程に従って燃料が個別に吸気ポートに噴射されます。トルク曲線向上のため、エンジンには可変式インテークマニホールドという技術が採用されています。エンジン回転数に応じて、吸気口の長さが特性マップによって制御され、吸気サイレンサーに取り付けられたサーボモーターによって2段階に変化します。充填の効率を最適化するため、スロットルバルブレールがある、インテークパイプの上に4本ずつ設けられているインジェクターノズルによって、適量の燃料が噴射されます。インジェクターノズルはエンジン回転数や出力要件に応じて、単独または同時に作動します。

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