GS:ジーエスとは何か?
オフロードを走破できるポテンシャルを持ち、長旅でもライダーに快適と安全を約束すること。
それまで両立できなかったファクターを満たす画期的なコンセプト「トラベル・エンデューロ」を掲げて登場したBMW GS。
現在ではビッグオフロード、アドベンチャー、マルチパーパスなど様々な言葉で表現されているカテゴリーのパイオニアは、まぎれもなくBMW GSです。
1980年の登場からその進化を一度も止めることなく、GSはこれからも先駆者であり続けます。
CONTENTS
■ GSの発祥
■ GSの世界を支えるテクノロジー
■ 最新GSファミリー
・ Rシリーズ
・ Fシリーズ
・ Gシリーズ
GSの発祥
1980年にR 80G /SのIMFAショーで鮮烈なデビューを果たしたR 80 G/S。
800ccの大排気量ボクサーエンジンを搭載して、当時は小・中排気量が中心だったオフロードモーターサイクルの世界に新たな風を吹き込みました。
R 80 G/Sには、当時のオフロードバイクの概念を覆す数々のイノベーションが盛り込まれていました。大排気量ボクサーエンジンのメリットは、発生する豊かなトルクフィールによってオフロードランでのトラクションが得やすいだけではありません。それまでのオフロードバイクが苦手としていた、長距離を一気に駆け抜けるような長旅やタンデムライドにおいても、大きなアドバンテージとなったのです。
また、フロント/リアともにゆとりのサスペンションストロークを確保することで、オフロードモデルに求められる走破性と高い路面追従性を実現しながら、荷物を満載する際やタンデムライドでも快適な乗り心地を生み出すことに成功しました。さらに、BMWが伝統的にボクサーエンジンに組み合わせてきたシャフトドライブ機構は、従来のオフロードモデルでは必須だった駆動系メンテナンスの呪縛からライダーを解放し、オフロードを含む長旅でもライダーとマシンにかかる負担を大きく軽減することに寄与していたのです。
R 80 G/Sに盛り込まれたイノベーションの中でも、特筆すべきものはモノレバーです。片持ち式スイングアームとシングルショックユニットを組み合わせたモノレバーは、ボクサーエンジンとシャフトドライブの組み合わせが生み出すメリットを最大限に活かしながら、R 80 G/Sが掲げたコンセプト「トラベルエンデューロ」を具現化したキーテクノロジー。この設計思想は、その後も進化と熟成を繰り返しながら、現代のBMW Motorradの多くのモデルへと引き継がれています。
R 80G /Sから始まったBMW GSシリーズの歴史は、40年という年月を数えた今でも進化を続けています。
GSの世界を支えるテクノロジー
最新GSファミリー
ボクサーエンジンのRシリーズ、並列2気筒エンジンのFシリーズ、そして単気筒エンジンのGシリーズ。これら最新GSファミリーのキャラクターを紹介します。
※本ページに掲載しているR 1250 GSおよびG 310 GSに関する特集は2020年に執筆したものであり、現在販売中のモデルと一部仕様が異なります。
Rシリーズ
GSシリーズのフラッグシップとして40年もの歴史を誇るRシリーズ。そのキーファンクションとなるのは、BMW伝統の水平対向2気筒エンジン=ボクサーエンジンとシャフトドライブです。
最新Rシリーズでは、排気量1,250ccの水冷ボクサーエンジンを採用しており、さらにバルブリフト量をシームレスに可変させる最新テクノロジー“BMW ShiftCam”を搭載しています。(R nineT Urban G/Sは除きます。)このテクノロジーによって大排気量ボクサーエンジンはより扱いやすく、よりパワフルな走りを提供します。
もちろん、最新の電子制御デバイスもFシリーズ同様に進化を続けており、ダイナミックESAをはじめ、ABS、各種エンジンモード、トラクションコントロールなど、あらゆるステージでライダーをサポートするテクノロジーが盛り込まれています。(一部は、R nineT Urban G/Sには装備されません。)
1980年に登場したR 80 G/Sの登場から40年。R-GSの血統はその確かな設計思想と先端のテクノロジーによって、いまも着実な進化を遂げています。
Fシリーズ
並列2気筒エンジンを搭載するスポーティなモデルレンジとして2006年に登場したFシリーズ。その最新モデルはF 750 GSとF 850 GS、F 850 GS アドベンチャーの3種類のラインナップで展開しています。
2018年のミラノショーで登場したこのFシリーズは、排気量853ccの水冷並列2気筒エンジンを搭載しています。最高出力はF 850 GS/F 850 GS アドベンチャーが95ps(70kW)/8,250rpm、F 750 GSが77ps(57kW)/7,500rpmを誇ります。
フレームは完全な新設計によるアルミブリッジフレームで、オンロードでもオフロードでも充分なスタビリティを確保しながら軽量でスポーティな走りを実現。さらにスリムなエンジンのメリットを最大限に活かすボディデザインともあいまって、Fシリーズは走るステージを問わず軽快な走りを楽しめるアグレッシブなモデルとしてGSシリーズの中でも際立ったキャラクターを持っています。
また、F 850 GSは2020年に開催されたGSトロフィーではトロフィーバイクとして1週間にも及ぶ過酷なステージでライダーたちを支えながら、そのタフなポテンシャルを証明しました。
Gシリーズ
排気量313ccの単気筒エンジンを搭載するGシリーズ。G 310 GSは、2016年秋のミラノショーで華々しくデビューしました。車体はロードスターモデルであるG 310 Rをベースにしながらも、足まわりや外装パーツは専用設計として本格的なオフロードランを可能にしたモデルです。
排気量313ccのエンジンは、シリンダーを後傾させつつ前方吸気・後方排気のレイアウトを採用したユニークな水冷単気筒DOHCです。最高出力は34hp/9.500rpmとして、エキスパートからビギナーまでライダーのスキルを問わずにエキサイティングな走りを楽しむことができます。
G 310 GSではフレームにダウンチューブを持たないチューブラーフレームを採用しています。また、本格的なオフロードランを見据えてフロントサスペンションのストロークは180mmで、そこに19インチのフロントホイールを装備しています。リアサスペンションのストロークも180mmで、17インチのリアホイールを組み合わせることで、豊富なタイヤ選択を可能としています。このゆとりのサスペンションストロークによって最低地上高もしっかりと確保しており、オフロードランにおいても大きなアドバンテージとなっています。
また、オフロードランや長距離の旅に対応したパーツも充実しています。エンジン下部には樹脂製のエンジンアンダーガードを装着するほか、リアシート後方にはトップケースを装着できる大型キャリアも標準で装備しています。外装についてはRシリーズのGSモデルを彷彿とさせるデザインとしながらも、コンパクトな車体に合わせたエルゴノミクスに基づく設計を随所に盛り込んで、BMWらしい車体パッケージとしています。