トップライダーたちが語るGSの魅力と本質
単気筒エンジンの軽快なGシリーズ、並列2気筒エンジンのスポーティなFシリーズ、そして伝統のボクサーエンジンのRシリーズ。
地球規模での冒険旅行を可能にするBMW GSの世界を形作るのは、キャラクターの異なる3種類のファミリーです。
では、それぞれが持つ魅力と、その走りの本質とは何なのでしょう?
BMWとオフロードに精通する一流ライダーたちが、それぞれのファミリーにじっくりと試乗して、GSの正体に迫ります。
※本ページに掲載しているR 1250 GS及びG 310 GSに関する動画及びインタビューは2020年秋に撮影したものであり、現在販売中のモデルと一部仕様が異なります。
R 1250 GS インプレッション
BMW Motorrad公認インストラクター/国際A級ライダーである鈴木大五郎氏がR 1250 GSを試乗インプレッション。GSの歴史やR 1250 GSのメカニズム解説を交えて、GSがアドベンチャーバイクの王者たる所以を解説しています。
F 850 GS インプレッション
BMW Motorrad公認インストラクター/国際A級ライダーである鈴木大五郎氏によるF 850 GS試乗インプレッション。Fシリーズならではの高いオフロード走破性や、F 850 GSとF 750 GSの違いについてもフォーカスしています。
G 310 GS インプレッション
BMW Motorrad公認インストラクター/国際A級ライダーである鈴木大五郎氏が普通自動二輪免許で乗れるG 310 GSを試乗インプレッション。特徴的なエンジンをはじめ、G 310 GSならではの乗り味も交えて、アドベンチャーバイク入門編であるG 310 GSのポテンシャルについて解説しています。
BMW Motorrad エキスパート・インタビューVol.1
鈴木大五郎氏試乗インプレッション
迫力満点の大柄な車体ですが、跨ってしまうと165㎝の僕でもそれほど大きさは感じません。重量も256キロとヘビー級ですが、その数値以上に軽さを感じるのです。
これはやはりBMW伝統のフラットツインエンジンの恩恵でしょうね。
重心が低く、バランスが良い。さらに走り出すと、その重さを殆んど感じなくなるから不思議です。
それからテレレバーサスペンションの恩恵か、前後にピョコピョコと姿勢が崩れることがないので、急にバランスを崩したり不安感を覚えることが圧倒的に少ないんです。
そこにプラスしてハンドル切れ角の大きさやその軽さが与えてくれる高い操作性によって、低速での取り回しはもちろん、オフロードでの扱い易さや安心感につながっているんですね。
アドベンチャーマシンのベンチマークとなるR 1250 GSですが、当然ライバルメーカーのマークもきつくなります。
そんななかで、唯一無二といえるのが、やはりこのボクサーエンジンの存在でしょう。
伝統的エンジン形式=旧式のレイアウトともいえるのですが、熟成に熟成を重ねて、素晴しいフィーリングと信頼性を備えています。
特にR 1250 GSとなってからは低回転用カムと高回転用カムを切り替えるシフトカム機構によって、低速トルクがより豊かに、そして味わい深くなりました。
それでいて、高回転域まで軽快に回っていくだけでなく、そのパワフルさも過去最高となっているのですから驚くばかり。
電子制御技術も最新バージョンで素晴しいのですが、そこにはまず、アナログ風のベースエンジンの存在があってのものだと感じるのです。
鈴木大五郎氏
鈴木大五郎氏
プロフィール
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐などでのレース経験をベースに、二輪雑誌やWEB(モーターサイクリスト・BMW BIKES・GQ等)でライターとしてインプレッションを執筆。
また2014よりBMWが主催するライダートレーニングのBMW公認インストラクターを務める。
最近の楽しみはNHK趣味の園芸を録画して残さず観ること。
BMW Motorrad エキスパート・インタビューVol.2
齋藤栄治氏試乗インプレッション
GSに乗っていつも感じることは、その大きさや車重からは想像も出来ないほどに「走る、曲がる、止まる」が極めて高いレベルにあるということです。
このライダーにもたらす安心感はGSという血統に代々受け継がれています。
最新型のGSにおいても例外なくそのDNAは引き継がれ、可変バルブタイミング機構の採用により、エンジンフィーリングは更に向上し、歴代のGSシリーズにおいて最高の仕上がりを見せています。
新型エンジンの低·中速域での粘りは市街地やツイスティーなワインディングロード、未舗装路や林道などで大きなアドバンテージとなり、高回転域でのパワーと伸びは高速道路等で爽快な気分を味わわせてくれます。
GSは、その容姿からアドベンチャーバイクとしての風格が強く、乗る人を選ぶようなオーラを醸し出していますが、実は非常に乗り易く、ライダーの技量を補ってくれる懐の広さを兼ね備えています。
また、様々なフィールドでカテゴリーの枠に収まらない性能の高さは、前述した「走る、曲がる、止まる」を高度な領域でまとめている証拠と言えるでしょう。
最新型のGSに乗って改めて感じたことは、GSを超える車両はGSでしかないということです。
このカテゴリーにおける絶対王者としての立ち位置はまだまだ揺るぎそうにないですね。
最新型となり大きな進化を感じたのは、ライディングモード·プロの設定です。
通常は「RAIN」「ROAD」「DAINAMIC」「ENDURO」の中から走行環境などに合わせてモード設定を行いますが、付属のコーディングプラグを装着すると、「DAINAMIC」が「DAINAMIC PRO」、「ENDURO」が「ENDURO PRO」となり、より細かなセッティングが可能となります。
例えば「ENDURO PRO」の場合、エンジンの出力特性を3段階、DTCの介入具合を2段階、ABSの介入具合も2段階と、装着タイヤや路面状態などに合わせて細かく調整することが可能です。これらのセッティングがTFT液晶メーターを見ながら簡単に設定変更できるので、是非活用したい機能と言えます。
また、足回りに関しても最新型の電子制御サスペンション「ダイナミックESA」の完成度が素晴らしいです。
従来モデルよりも洗練されたその乗り味は様々な走行環境においてベストなサスペンション状態を自動調整してくれます。
細かな点では新型からヒルスタート·コントロールに「AUTO」の設定が追加され、5%以上の勾配で自動的に作動するようになりました。
身長の低い方がフルパニア状態などで坂道発進をする場合は相応に緊張すると思いますが、このシステムがあればブレーキ操作が省略され、スロットルとクラッチ操作に集中することができます。
R 1250 GSになり、新型ボクサーエンジンの進化が大きく取り沙汰されることが多いが、実は様々な部分がブラッシュアップされています。
容姿は前モデルとあまり変わりませんが中身は大幅に進化しております。
齋藤栄治氏
齋藤栄治氏
プロフィール
ロードレースGP250の参戦をはじめ、鈴鹿8時間耐久ロードレースにBMW R 1100 S、K 1200 R、S 1000 RRで4度参戦。
現在はBMW Motorradの各種イベントやディーラー主催イベントの制作業務を担当。
BMW Motorradとは約25年の間、オンロード·オフロード問わず様々な車種と接してきた経験を持つ。