力強さと気品を閉じ込めて

BMW R 18 The Wal / 木村信也

ガソリンタンクやジャージ、ヘルメット、工具、そして書道や写真まで—。

世界でもっとも求心力のあるカスタムビルダーの一人である木村信也氏(または、世界でもっとも興味深い人物の一人!)のワークショップ。そこはワークショップというよりも、素晴らしく整然としたカオスの中にありとあらゆる種類の思い出の品や驚くべきアイテムが詰め込まれています。その神聖なるワークショップから送り出されるモーターサイクルは、年間2、3台ほど。カスタムのプロジェクトを進める際に、木村氏は常に1台の車両だけに集中して取り組むといいます。そこでは流れと調和、そして日本の美意識である侘び寂びも重要な役割を果たしています。古いモーターサイクルが放つ本物のキャラクターや独特の風合いは、将来のライダーの本質と同じように彼にとってはとても重要なもの。結局のところ、プロジェクトを完成させるのはライダーなのです。だからこそ、今回木村氏がワークショップに真新しいR 18を置き、そのライダーが彼自身であることは、よりエキサイティングなことなのです。

R 18 THE WAL MKII

「BMW R 18 THE WAL MKII」とはー

THE WAL MKⅡ(ザ・ヴァル・マーク・ツー)とは、木村信也氏がBMW R 18をカスタムし、エンデュランスレーサーとして製作された「THE WAL」から、新たにフロントカウルを変更し、より風防性能を向上させたカスタムモデル。

2022年12月4日に開催された日本最大級のカスタムバイクイベント「横浜ホットロッドカスタムショー」に合わせ来日された木村信也氏に、カスタムバイク「BMW R 18 THE WAL MKII」の制作秘話を語って頂きました。

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My approach comes from making, from feeling. Without sketches or drawings, blueprints or models.

 

「私のアプローチは、作ること、そして感じることから始まります。スケッチやデッサン、設計図やモデルもありません」

 

Shinya Kimura | 木村信也

Chabott Engineering | チャボ・エンジニアリング

木村信也氏の作品に漂うその感覚はどこからやってくるのでしょうか? 彼は東京の中心部で両親が営むリベット工場で、オイルや鉄の匂いが漂い、工作機械が絶え間なく打音を響かせる環境で育ちました。こうした経験が彼の潜在意識を育て、彼が最初に開いたワークショップのコンセプトを形作ったのです。また、彼の父は詩人でもあり、そして母は書道家でした。だからこそ彼は生まれながらに美的感覚を備えていたのでしょう。その結果、彼がカスタムを手がける車両はすべて、その伝統やルーツ、キャラクターまでをも丹念に掘り下げながら、その車両が持つ気品にも細部に至るまで注意を払います。R 18では、そうした作業を数多く伴うことを木村氏はすぐに理解したのです。

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巨大なボクサーエンジンを目の当たりにして、それがこれまで手がけてきた中で一番大きなエンジンであることを彼はすぐに理解しました。しかし、最初に感じた畏れはすぐに消え去ります。というのも、その扱い方は彼がこれまで所有してきたボクサーエンジンのモーターサイクル、特にR 69 Sを思い出させたからです。木村氏はR 18の扱いやすさとその感触に感銘を覚えましたが、初めてそのスロットルに触れ、1,800ccのエンジンが奔放なパワーを放つにつれて、まったく新しいボクサーエンジンを体験したのです。

そのピュアなライディングプレジャーによって、まるで何かに取り憑かれたような感覚を味わった彼は、なかなかバイクから降りることができませんでした。ライディングしているときに彼がはっきりと感じたのは「それは無秩序に乱暴なパワーではなく、主権と優雅さに満ちていた。BMWにしかできないことだ」と。そしてすぐにカスタムプロジェクトに名前を着けました。無垢な力強さとダイナミックな優美さの融合……その名も“The Wal”。

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こうしてフォーカスすべきポイントも決定しました。“The Wal”は木村信也氏のライディングスタイルにマッチするものでなければならない—。彼はその仕様を「スポーツ・エンデュランサー」と称しました。伸びやかでダイナミックなシートポジションと多彩なドレスアップは、最新のBig Boxerでロングツーリングを楽しむための欲求を満たすためには不可欠な要素でした。車体に手を入れる中で、特にあるポイントで彼は満足したといいます。それは、自身が求めるフィーリングと欲求を反映させながらも、R 18の印象的なハンドリングとライディングフィーリングは一切変わっていないという点です。その結果R 18は、“素晴らしく整然としたカオス”の達人である彼をも驚かせたのです。

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車両詳細

フレームとサスペンション

フレームとサスペンションはオリジナルのR 18と同じ。木村信也氏は「スポーツ・エンデュランサー」という文脈の中では、手を入れる必要はないと考えている。

ペイントワーク

木村氏は、まずペイントが必要なパーツすべてに鈑金加工をおこなって質感を均一に整えた後に、ブロンズ調のパウダーコートを施した。

シート

シートデザインは木村氏によるもので、シートレザーの製作は日本のBACKDROP Laethersが担当。深いバケットシートは、ほぼ完璧なライダーと車体の一体感を生み出している。

燃料タンク

R 18の印象的なティアドロップ形状は、異なるシェイプを持つ燃料タンクに置き換えられ、タンク容量に余裕をプラス。その細長いボックス形状の燃料タンクによって、タンク量は約4リットル増加。

エキゾースト

すべてのボディワークを終えたあとに、エキゾーストについて時間をかけてアイデアを巡らせた木村氏は、象徴的なR 18のエキゾーストシステムについては、ブラックペイント以外は必要ないという結論に至った。

シートフレームとリアエンド

他のすべてのボディパーツ同様に、シートフレームとリアエンドのアルミパーツはすべて木村氏の手作業によって生み出されたもの。調和の取れたラインと流れを完成させながら、印象的なラウンド型のテールランプを備える。

あなたのR 18をどうデザインしますか?

あなたのR 18をどうデザインしますか?

R 18のデザインとアイコンは、カスタムへの思いをかき立てるでしょう。BMW Motorradのコンフィギュレーターはあなたの鼓動を高めることを保証します。

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